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フーサン便り 第161号

食品工場の設計の流れとポイント

株式会社アルテ代表取締役 海原俊哉

 

食品安全ネットワーク会員の皆様、こんにちは。

 株式会社アルテ(一級建築事務所)の海原俊哉と申します。弊社2005年に大阪市北区で操業を開始しました。設計事務所設立当初は個人の住宅やマンション等住宅系を中心に設計・監理を行っていましたが、2009年より食品工場に特化した部署を作りそこからは食品工場の設計をメインに行っています。
 私が食品安全ネットワ-クに入会したのもちょうどそのころだったと思います。
 最近は食品工場の設計以外で施工会社から食品工場建設のアドバイスの依頼なども増えてきています。
 今回は食品工場を建築、設計する為の重要なポイント2つをお話ししたいと思います。
 食品工場は言うまでも無く、衛生管理が重要となります。
 設計から施工までの流れの中(下記の業務フロー)で、最も重要なものは企画と基本設計の2つです。

 図は企画から始まり工事完成までの流れを表しています。

 企画では設計に入る前の諸条件を、整理していく作業を行います。製造工程図を基に既存工場を見学し製造の流れを確認し施設の問題点等をリストアップし、新工場ではどのような形にするのが一番かをお伝えします。  また新工場で使用する生産機械のリストアップをし、新工場の平面計画に落とし込み、設備設計の資料にしていきます。
 新工場の計画地の周辺環境の調査も建物の配置を決めるうえで重要です。
 建築場所の植栽や風向き降雨量等を調べる事も大切です。
 例えば、風上に向かって原料や製品の出入り口を設けると虫や埃が風で工場内に押し込まれるといった事が起こりやすくなるので、その方向は避けるよう計画していきます。
 この様にして諸条件が揃うと基本設計を行っていきます。

 基本設計ではソーニング計画を行い、動線計画を基に平面計画(平面図)を作成します。
 ゾ-ニング計画では製造作業工程(フロ-チャ-ト)を汚染作業区域・準清潔作業区域・清潔作業区域の3つに区分します。
 製品製造作業に従事しない事務室、更衣室、休憩室などの管理室は一般区域とし製造区域完全に分離し、一般区域と製造区域との接点は作業従事者の入退室(サニタリ-ゾーン)のみのゾーニング計画とすることで一般区域からの二次汚染及び異物混入防止対策ができ入室時の衛生管理が把握できる様に計画します。
 動線計画においては製造室内の作業従事者及び原材料・製品・廃棄物の流れを計画します。各流れの重要ポイントは交差汚染による二次汚染を防止し、製造能力を高めることであり、最小動線を製造作業工程(フロ-チャ-ト)に基づき、材料や製品が一方通行で流れ、作業従事者がゾーニングを跨ぐ事無く、効率よく最短ルートとなるように計画します。

 また、清潔区域の清浄度をどの程度にするか、陽圧管理や室内温度管理をどう行うのかといった事も基本設計時に検討し、決定しなければならない事柄です。
 このように食品工場の設計は周辺環境や生産ラインを理解することが重要で、食品工場建設の経験のない業者には設計はとても難しいです。
 またコスト面でも一般の工場とは感覚がかなり違う為、設計が終り見積もりを取ると金額が全く合わず再度設計をやり直すといった事が起こりかねません。
 食品工場の建設は、一般の建設ではあまり考えない事柄が多いので食品工場の建設の経験値の高い設計事務所や施工会社に依頼することがとても重要です。

 

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